保育園のICT化で現場はどう変わる?導入後に見えてきた「良くなった点」と「不便に感じる点」
2026年05月06日
近年、保育業界では「ICT化」が急速に進んでいます。連絡帳のデジタル化や登降園管理、写真販売、午睡チェック、請求管理など、これまで紙や手作業で行っていた業務をシステムで管理する園が増えてきました。
保育士不足や業務負担の増加が課題となる中で、ICTシステムの導入は働き方を見直す大きなきっかけにもなっています。一方で、「便利になった」という声だけでなく、「不便に感じる点もある」という意見も少なくありません。
今回は、保育園のICT化によって現場がどのように変わったのかについて、実際によく聞かれる声をもとにご紹介します。
ICT化で保育士の業務負担はどう変わった?
保育園でICT化が進んだことで、最も大きく変わったのが「事務作業の負担軽減」です。
これまでは、登園確認や連絡帳、出欠確認、保育日誌などを紙で管理している園も多く、記入や確認にかなりの時間がかかっていました。特に朝夕の忙しい時間帯は、保護者対応と書類業務が重なり、保育士の負担が大きくなりがちでした。
しかしICTシステムを導入することで、タブレットやスマートフォンから簡単に入力・確認ができるようになり、業務効率が大きく改善された園も増えています。
たとえば、
- 登降園時間を自動で記録
- 保護者との連絡帳をアプリ化
- 午睡チェックをタブレットで入力
- 請求業務を自動計算
など、これまで手作業だった部分をシステムがサポートしてくれるため、保育士が子どもと関わる時間を増やしやすくなりました。
また、保護者側にもメリットがあります。連絡帳をスマートフォンで確認できるため、通勤中や仕事の休憩時間にも内容を確認しやすくなりました。欠席連絡もアプリで完結できるため、朝の電話対応が減ったという園も多いようです。
このように、ICT化によって「業務の見える化」や「情報共有のスムーズ化」が進み、園全体の運営効率向上につながっています。
導入して感じた「良くなった点」とは?
実際にICTシステムを導入した保育園からは、多くの「良くなった点」が挙げられています。
特に多いのが、「職員間の情報共有がしやすくなった」という声です。
紙ベースの管理では、記入漏れや伝達ミスが起きることもありました。しかしICTシステムでは、入力した情報がリアルタイムで共有されるため、誰が確認しても同じ情報を見ることができます。
たとえば、アレルギー対応や体調の変化、送迎者の変更なども即時共有できるため、安全管理の面でも役立っています。
さらに、写真管理や配信機能が便利になったという意見も増えています。日々の保育の様子を写真付きで配信することで、保護者が子どもの園生活をより身近に感じられるようになりました。
ほかにも、
- 残業時間が減った
- 集計作業が簡単になった
- 監査資料の準備がスムーズになった
- ペーパーレス化が進んだ
など、現場全体の働きやすさにつながっているケースも多く見られます。
特に近年は、保育士の離職防止や働き方改革の一環としてICT化を進める園も増えており、「保育の質を高めるための時間を確保できるようになった」という点を大きなメリットとして感じている施設も少なくありません。
便利なだけではない?不便に感じる点も
一方で、ICT化には不便に感じる点もあります。
まず導入時によく聞かれるのが、「操作に慣れるまでが大変」という声です。
特に、これまで紙中心で業務を行っていた園では、タブレットやアプリ操作に戸惑う職員もいます。システムに慣れるまでに時間がかかり、一時的に業務負担が増えたと感じるケースもあります。
また、システムによっては、
- 画面が見づらい
- 入力項目が多い
- 園独自の運用に合わない
- 通信環境によって動作が不安定になる
といった不便に感じる点が出る場合もあります。
さらに、機械トラブルや通信障害が起きた際には、システムが使えなくなるリスクもあります。そのため、ICTシステムを導入する際は、「機能が多いか」だけではなく、「現場で使いやすいか」「サポート体制が整っているか」を重視することが大切です。
ICT化は、単に業務をデジタル化することが目的ではありません。大切なのは、保育士の負担を減らし、子どもたちと向き合う時間を増やすことです。
だからこそ、現場の声をしっかり反映しながら、“保育現場に合ったICT”を選んでいくことが、これからますます重要になっていくでしょう。