保育士の事務作業はなぜ多い?ICTで見直したい5つの業務
2026年11月01日
保育士の仕事といえば、子どもたちと遊んだり、食事や着替えをサポートしたりする姿を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし、実際の保育現場では、子どもたちと直接関わる時間以外にも、さまざまな事務作業が発生しています。
連絡帳の記入や保育日誌の作成、保護者へのお知らせ、職員間の情報共有など、その内容は多岐にわたります。こうした業務は保育の質や安全を守るために欠かせませんが、保育士の負担につながっていることも事実です。
そこで注目されているのが、保育園向けICTシステムの活用です。今回は、保育士の事務作業が多くなる理由と、ICTによって見直したい5つの業務についてご紹介します。
なぜ保育士の事務作業は多いの?
保育園では、子ども一人ひとりの成長や健康状態を把握し、適切な保育を提供するために、多くの記録を残す必要があります。
例えば、毎日の食事量や睡眠時間、排泄状況、体調の変化などは、保育士同士で共有するだけでなく、保護者へ伝える大切な情報です。
また、保育計画や行事の準備、行政への報告書類など、園の運営に関わる業務もあります。
特に事務作業が増える原因として挙げられるのが、情報の重複管理です。
同じ内容を連絡帳と保育日誌の両方に記入したり、紙の出席簿から別の管理表へ転記したりするなど、似た作業を繰り返している園もあります。
さらに、保育中は子どもたちの安全を優先するため、まとまった事務作業の時間を確保しにくいという事情もあります。
こうした課題を改善するためには、必要な記録を残しながら、作業の重複や手間を減らす仕組みづくりが重要です。
ICTで見直したい5つの業務
1.連絡帳の記入・管理
連絡帳は、保護者と保育園をつなぐ大切なコミュニケーションツールです。
子どもの食事や睡眠、遊びの様子などを伝えるため、毎日欠かさず記入している園も多いでしょう。
しかし、紙の連絡帳では園児ごとに手書きする必要があり、記入や確認に時間がかかります。
ICTシステムを活用すれば、タブレットやパソコンから入力でき、定型文や入力補助機能によって作業時間の短縮が期待できます。
また、保護者もスマートフォンから確認できるため、連絡帳の受け渡しや保管の手間を減らせます。
ただし、文章の効率化だけを重視せず、子ども一人ひとりの様子が伝わる内容にすることが大切です。
2.保育日誌や指導計画の作成
保育日誌や月案、週案などの指導計画は、保育の振り返りや今後の活動を考えるために必要な書類です。
一方で、毎日の記録や計画作成には時間がかかり、保育士の負担になりやすい業務でもあります。
ICTシステムを利用すれば、過去の記録を参照したり、テンプレートを活用したりすることで、書類作成を効率化できます。
さらに、複数の職員が同じ情報を確認できるため、計画の共有や修正もスムーズになります。
最近では、生成AIを活用して文章の下書きや活動案を作成する方法も注目されています。
ただし、AIが作成した内容をそのまま使用するのではなく、子どもの発達状況や園の方針に合わせて保育士が確認することが重要です。
3.登降園管理・出欠確認
毎日の登降園時間や欠席状況の確認も、保育園に欠かせない業務です。
紙の出席簿を使用している場合、登降園時間の記入漏れを確認したり、月末に利用時間を集計したりする必要があります。
ICTシステムでは、保護者によるQRコードやタブレットでの打刻、アプリからの欠席連絡などに対応しているものがあります。
登降園情報が自動的に記録されれば、手作業による集計や転記の負担を減らせます。
また、園児の出欠状況を職員間で共有しやすくなるため、給食数の確認や保育体制の調整にも役立ちます。
ただし、システム上の記録だけに頼らず、実際の園児の所在確認を徹底することが大切です。
4.保護者へのお知らせ・配布物の管理
園だよりや給食だより、行事のお知らせなど、保育園では毎月多くの配布物を作成しています。
紙で配布する場合、印刷や仕分け、配布、未提出書類の確認など、さまざまな作業が必要です。
ICTシステムの一斉配信機能を活用すれば、保護者のスマートフォンへお知らせを届けることができます。
また、既読確認やアンケート機能を備えたシステムであれば、提出状況の把握や回答の集計も効率化できます。
特に、感染症の発生や行事の変更など、急ぎの連絡が必要な場面でも役立ちます。
保護者が情報を確認しやすい環境を整えることは、園と家庭の円滑なコミュニケーションにもつながります。
5.職員間の情報共有・引き継ぎ
保育園では、早番や遅番など勤務時間が異なる職員同士で、情報を正確に共有する必要があります。
子どもの体調や保護者からの伝達事項、アレルギー対応など、引き継ぐべき内容は数多くあります。
紙のメモや口頭での伝達だけでは、情報の確認に時間がかかったり、伝達漏れが発生したりする可能性があります。
ICTシステムを活用すれば、必要な情報を一元管理し、職員がそれぞれの勤務時間に確認できるようになります。
ただし、緊急性の高い内容については、直接声をかけるなど、確実に伝わる方法を併用することが重要です。
ICT化を成功させるために大切なこと
保育園のICT化を進める際には、単に紙の書類をデジタル化するだけでなく、業務全体を見直すことが大切です。
例えば、システムに入力した内容を紙にも記入していては、かえって作業が増えてしまいます。
まずは、現在どのような事務作業があり、どの業務に時間がかかっているのかを整理しましょう。
そのうえで、入力内容をほかの業務にも活用できるか、職員全員が使いやすい操作方法になっているかなどを確認することが重要です。
また、ICTシステムの導入時には、操作研修やサポート体制を整え、職員が安心して利用できる環境をつくる必要があります。
すべての業務を一度に変更するのではなく、負担の大きい業務から段階的に改善していくことも効果的です。
まとめ|事務作業を減らして保育の時間を充実させよう
保育士の事務作業が多い背景には、子どもの安全や成長を支えるために必要な記録や情報共有があります。
これらの業務をなくすことはできませんが、ICTを活用することで、作業の重複を減らし、効率的に進めることは可能です。
連絡帳や保育日誌、登降園管理、保護者へのお知らせ、職員間の情報共有など、身近な業務から見直していくことが、働きやすい保育現場づくりにつながります。
ICT化の本来の目的は、単に事務作業を減らすことではなく、保育士が子どもたちと向き合う時間をより充実させることです。
保育現場の実情に合ったICTシステムを取り入れながら、保育士にとっても子どもたちにとっても、より良い環境を目指していきましょう。