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「こども誰でも通園制度」本格始動。現場が抱える“3つの不安”と、それでも期待したいこと

2026年02月03日

2026年度、日本の保育現場は大きな転換点を迎えています。「こども誰でも通園制度」の本格実施。親の就労要件を問わず、すべての未就園児が保育園を利用できるこの制度は、待機児童問題が解消に向かう中で打ち出された、次世代の少子化対策の目玉です。

しかし、現場に立つ保育士たちの心境は複雑です。新しい一歩への期待よりも、目の前の業務がどう変わるのかという戸惑いの方が大きいのが本音ではないでしょうか。

 

「預かり」の枠を超えた、未知の挑戦が始まる

これまでの保育園は、働く親を支える「生活の場」でした。しかし、この制度によって、保育園は「すべての親子に開かれた地域の広場」へと役割を広げます。

週に数時間だけ、あるいは月に数回だけ。これまでに接点のなかった「家庭で育てられている子どもたち」が園庭を駆け回り、給食を囲む。これは単なる一時預かりの延長ではなく、保育のあり方そのものを問い直す、未知の挑戦です。

 

現場を覆う「3つの不安」の正体

新しい制度に対し、現場が抱く不安は主に3つのポイントに集約されます。

【不安①】安全性の確保

毎日通う園児なら、その子の癖やアレルギー、体調の変化も把握できています。しかし、たまに利用する子の「万が一」にどう備えるか。不慣れな環境で泣き続ける子への対応や、情報の少ない中での怪我の防止は、保育士にとって大きな心理的プレッシャーです。

【不安②】職員の負担増

ただでさえ人手不足と言われる中、不定期な予約管理や、利用ごとの聞き取り、環境設定が加わります。「今以上に書類や対応が増えたら、子どもと向き合う時間が削られる」という危惧は切実です。

【不安③】継続性の欠如

保育の醍醐味は、日々の積み重ねによる成長を見守ることにあります。「細切れの時間で、その子の育ちに何ができるのか」「中途半端な関わりにならないか」という、専門職としてのジレンマです。

 

制度がもたらす「新しい保育の価値」への期待

それでも、この制度には光の部分があります。

最も大きな期待は、「孤立する親子」のセーフティネットになれることです。社会から切り離された感覚で育児に悩む保護者にとって、保育士の「大丈夫ですよ」の一言は、何物にも代えがたい救いになります。私たちの専門性を、園の中だけでなく、地域社会全体に直接還元できるチャンスなのです。

また、不定期に訪れる子どもたちは、園に新しい風を吹き込みます。在園児にとっても、新しい友達との出会いは刺激となり、多様性を学ぶ貴重な機会となるでしょう。

「無理なく、しなやかに」受け入れるための土壌づくり

この制度を「負担」だけで終わらせないためには、現場の努力だけでなく、仕組みの活用が不可欠です。

まずはICTの徹底活用です。予約管理やアレルギー情報の共有をデジタル化し、アナログな事務作業をゼロに近づけること。そして、「完璧な保育」を目指しすぎないことも大切です。園を「特別な場所」ではなく、親戚の家のような、地域のあたたかい実家として位置づける。肩の力を抜くことで、保育士自身の笑顔も守られます。

保育の未来を拓く第一歩にするために

制度はあくまで「ツール」です。主役は、そこで過ごす子どもたちと、彼らを迎える保育士のみなさんです。

「こども誰でも通園制度」の本格始動は、確かに不安も伴います。しかし、これを機に保育の価値が社会に再認識され、現場の環境改善が進むきっかけにすることもできるはずです。誰もが安心して子どもを産み、育て、そして預けられる社会へ。私たちは今、その最前線に立っています。